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出作りの暮らしを支えた、もう一つの実り
白山の風土に適応した特異な作物「カマシ」
「カマシ」は、急峻で標高が高く稲作ができなかった白峰において、
不足しがちなカルシウムやビタミン、ミネラルなどを補う「栄養保護食」として重宝されてきました。
米の代わりに厳しい自然の中で命をつなぐ食料として、
主食のヒエやアワと並んで大切に育てられてきた雑穀が「カマシ」です。
はるか南方の熱帯地域をルーツとする雑穀ですが、長い時間をかけて日本列島を北上し、
深雪地帯の風土に見事に適応しました。
穂の形が鴨の水かきに似ている点から「カモアシ」と呼ばれ、名称が詰まって「カマシ」と呼ばれています。
ヒエやアワのような硬い籾殻がないため、
白峰では「穀物」ではなく「草」として扱われてきた、極めて個性的な作物です。


焼畑への直播を避けた「移植」の技術
白峰の出作りでは、カマシは原則として焼畑(ナギハタ)に直接種をまかず、
常畑(キャーチ)で苗を育ててから移植する栽培法がとられました。
カマシは稚苗の段階から茎の根元で盛んに枝分かれをするため、
種を直接まいて密植状態になると風通しが悪くなり腐ってしまいます。
そのため、人為的に適度な空間を開けて力強く育てる「移植」の技術が必要だったのです。
焼畑のサイクル

繰り返し作物を作ることで、地力が落ち、やせつつある土地に移植し、
最後の地力を無駄にせず、最大限山の恵みを得ていました。
一粒の恵みを生かす、丹念な手作業
カマシは硬い籾殻を持たないため、天日干しして木槌で叩き、揉むだけで
簡単に実を外すことができます。
しかし、極めて硬い粒を粉にするため、石臼で丁寧に挽きあげます。
一粒残さず生かすための丹念な作業には、
自然の恵みと真摯に向き合う奥山人の姿勢が表れています。




「炒る」手間に宿る、美味しく食べる工夫
白峰でのカマシの食べ方には、「炒る」という大切な工程が入ります。
製粉する前にパチパチとはじけるまで香ばしく炒り上げるのです。
そうしてできた「かましいりこ」は練って食べたり、アイスにかけて食べたり。
ただ飢えをしのぐだけでなく、あるものを少しでも美味しく食べようとする、
奥山人の豊かな食の工夫がここに息づいています。
カマシ伝承活動
現在、白峰では複数の団体がキャーチ(常畑)でカマシの栽培を続けています。
収穫されたカマシは、地域の特産品販売所「菜さい」にも並び、
今も人々の生活の一部として親しまれています。
収穫されれば、まちの道端で住民がカマシを脱穀する姿が見られます。
日々の暮らしの営みとして自然に手を動かす。この当たり前の風景こそが、
白峰の文化を未来へとつないでいます。

白峰でのカマシの食べ方
かましいりこ


かましソフト
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